ここはある一般的な家庭の台所
ここで、冷蔵庫をあさっている人影がいた。
しばらくすると、人影は何かを見つけるとそれを食べ始めた。
「げふぅ」
と、数秒のタイムラグののち、その人影は急に倒れこんた。
と、外の電柱からその光景を見ている人影があった。
「ふう」
台所で人影が倒れるのを確認すると、人影はため息を付きながら髪をかきあげた。
「さて、仕事も済んだし帰りましょう」
女はそう言うと、電柱から降りて徒歩で帰っていった。
ーーーーー
「ただいま、お母さん」
玄関を開けると同時に元気な声と名雪が飛び込んできた。
「おかえりなさい」
名雪は秋子さんの声を聞きながら自分の部屋に入ると、私服に着替えて出てきた。
「手伝うよ」
台所に入ってくるなり名雪は言った。
「あらそう、じゃあ、お皿並べてくれるかしら」
「わかたよ」
秋子さんは皿を並べる名雪の後姿を見ながら微笑んだ。
「お母さん、並べ終わったよ」
「じゃあ、お味噌汁とご飯よそって頂戴」
「はーーい」
「いただきま〜〜す」
食事の用意ができ、食べ始めると、
「でね、香里が……」
「そこで先生がね……」
名雪は学校であったことを次から次へと話していった。
秋子さんはその話を微笑みながら聞いているのだった。
いつもと変わらない、家族二人の楽しい時間。
その後、いつもと変わらないテレビを見て、
いつもと変わらない時間に寝て、
いつもと変わらない時間に起きて、
いつもと変わらない登校風景を見て、
そして……
いつもと変わらない帰宅風景を見るはずだった。
「名雪遅いわね」
時計を見ると、もうすぐ午後7時である、
今日は部活で遅くなると電話があったので待っていたのだが、
さすがに遅すぎる
とその時
ピンポーン
「はーい」
チャイムの鳴った玄関に向かう秋子さん。
そこで秋子さんはとんでもない物を見る事になるのだった・・・
秋子さんは玄関を開けながら
「どなたですか?」
と言って外を見ると、誰もいなかった
「おかしいわね?」
そう言いながら、ふと足元をみると、
『お前の娘はあずかった、返してほしければ○○びるまでこい』
新聞や雑誌から切り抜いて貼り付けたのだろう、文字の形もサイズもばらばらな脅迫文が落ちていた。
「名雪!!」
秋子さんの顔から血の色が引いていく。
そして、一番驚いたのは一番後に書かれていたことだった。
『コードネーム 謎ジャムさんへ 主人公より』
コードネーム謎ジャム、それは秋子さんが裏の商売をする時の偽名。
秋子さんは普段はとある場所でパートをしているが、実はお仕置き人とでも言うべき仕事を裏でやっていた。
お仕置き人とは、依頼者の依頼を受けお仕置きをする人のこと(そのまんま!!)。
「……」
秋子さんはある人の所へ走り出した、
裏の仕事と言うのは並みの体力で勤まる物ではない、
そのため秋子さんもしっかりと鍛えられている、
ある人物の所についたときも息一つ切れていなかった。
と言っても、たかだか500mなのだが。
「どうしたんだ?秋子さんさん」
その人物は驚きながら聞いた。
「緊急事態よ、武器を頂戴」
こいつは武器の北川と裏の世界で呼ばれている人物。
武器、特にライフルに関しては世界を探してもこいつの右に出る腕前の者はいない、
「…… 何があった」
武器の北川は顔色を見て事の重大さに気づいた。
「子供がさらわれたの」
「どこから身元がばれた?」
武器の北川は椅子を倒しながら立ち上がって言った。
「わからない」
秋子さんは首を横に振りながら言った。
裏の仕事で身元がばれると言うことは生命が危ないと言うことに直結する。
「とりあえず、何がいるんだ?」
「とりあえず、アサルトライフル、ハンドガンにグレネードとナイフ あとは適当にね」
「わかった、5時間いや、2時間待ってくれ」
「そんなに待てないわ、1時間でお願い」
「分かった、何とかやってみる」
その返事を聞くと、すぐに秋子さんは次の目的地に走り出した。
ーーーーー1時間後、水瀬家
「はいよ、何とか用意できたぜ。
グレネードの数がちょっと足りないかもしれないが、お前なら大丈夫だろう」
「ありがとう、これだけあれば十分よ」
秋子さんは武器の入った木箱を覗きながら言った。
秋子さんは全身黒い特殊スーツに着替えていた、
このスーツも北川が用意したもので、超高性能の防弾チョッキを兼ねている。
警察が持っている銃ぐらいなら簡単にはじき返す。
「P90、SOCOMそれとそれぞれの弾とグレネードが5個、あとその他もろもろ」
「上出来よ」
「わるいな、グレネードはついさっき”黒き闇”にありったけ渡したばっかりなんだよ」
「いいわ、5個もあれば十分よ」
「あとこれ」
「これは?」
「謎ジャム弾さ、P90に使えるように作り直しておいたよ」
「心強いわね」
秋子さんは椅子に座った。
謎ジャム弾、それは秋子さん愛用のある意味世界最強の銃弾
中に謎ジャムが入っており、この弾を受けた物は3ヶ月は身動きが取れなくなる。(口に入った場合)
え、何で死なないのかって??
それは、あくまで秋子さんの仕事は”お仕置き”だから殺すまで行っちゃ駄目なのだ!!
え、3ヶ月動けないだけでも十分ひどいって??それは見逃せ(爆
とそんな解説をしているその時、秋子さんの横に置かれたパソコンの画面に手紙のマークが現れた。
「やっときたようね」
秋子さんが手紙のマークをクリックするとそこには脅迫文の最後に書いてあった主人公という名前を秋子ネットワークで調べ上げた結果が書かれていた。
秋子ネットワークは世界中のあらゆる情報を精度99.99%で1時間以内に調べ上げることのできる非常に優秀な情報ネットワークである。
FBIからペンタゴン、果ては世界中の政府の機密情報まで”タダ”で手に入れることができるのだ。
電子メールの内容は、
本名 相沢祐一
年齢 18歳
〜〜〜〜〜〜〜(以下略)
「相沢祐一……」
秋子さんはあごに手を当て、何か考えている。
「昔お仕置きしたやつか?」
「いえ、知らない名前よ」
北川の方を向きながら、秋子さんは答えた。
「と言うことは、お仕置きした人の関係者」
「どうやらそのようね」
「気をつけろよ、お前に喧嘩を売ってきてるんだ、
相手もそれ相当の準備をしているはずだ」
「分かってるわよ、行ってくるわ」
そう言うと、秋子さんは武器をカバンにつめこんでバイクにまたがり走り出した。
「ここが○○ビル……」
見上げると首が痛くなりそうなほど高いビル。
その正面玄関には、
『よく来たな、最上階までこい!』
と書かれた張り紙がしてあった。
「待ってなさい、祐一さん」
こんなときでもさん付けしてしまう秋子さんであった。
ーーーーー30階
「待っていたよ」
秋子さんが30階まで階段で上がっていくと、その階全部がパーティー会場のような広い場所になっており、その真中に一人の少女が立っていた。
「あなたはタイヤキ屋さんのおじさんに頼まれてお仕置きした……」
「そう、月宮あゆよ。
あの時のタイヤキの恨み晴らすんだから」
あの時のお仕置きは、依頼人のタイヤキ屋さんの協力でタイヤキの小豆を謎ジャムに変えておいたのだ。
「行くよ」
そう言うなり、あゆは両手にでっかいタイヤキ風ブレードを持って突っ込んできた。
「あら、女の子がそんな危ない物振り回しちゃ駄目ですよ」
そう言いながら秋子さんはぎりぎりで横によける
「あ〜〜、よけちゃ駄目〜〜」
と言いながらそのままあゆは壁に突っ込んでいった。
どん!!
「へぎゅ」
すごい音と変な声をあげて、あゆはうつ伏せで完全にのびてしまった。
どうやら頭から壁に突っ込んだらしく、壁には顔の跡とタイヤキブレードが突き刺さっていた。
「あらあら、だから言ったのに」
そういいながら、秋子さんは背中に背負ったカバンから救急セットを取り出すと応急処置をし始めた。
「これでいいでしょ、仕上げは……」
カバンからタイヤキを取り出すとあお向けに寝かせ直したあゆの胸の上に置いた。
ちなみに、このタイヤキは北川に頼んだ”その他もろもろ”に入っていた物だ。
「これで勘弁してね」
あゆは包帯グルグル巻きで目を回して床でのびている。
秋子さんは再び階段を上り始めた。
ーーーーー50階
「ミャー」
秋子さんが50階まで上って来ると暗闇からネコの鳴き声が響いた。
「!」
秋子さんが声のした方を振り向くと後ろから、
「くらえ!!」
声と同時に暗闇から拳が飛んできた、
が、かなり前で止まる。
「う〜〜、よけるなんて卑怯だ」
「よけるも何も、最初から届いてないんだけど」
秋子さんが苦笑いを浮かべながら困っていると、
「こうなったら、これでも食らえ!」
と肉まんが飛んできた。
が、秋子さんは紙一重でよける、
しかし、特殊スーツがわずかに切れた。
秋子さんの顔が一瞬ゆがむ。
壁に突き刺さった肉まんには、周りには刃がついており本物の肉まんではなかった。
「肉まん手裏剣もよけるなんて卑怯だ〜〜」
そういいながら相手が暗闇から出てきた。
「あら、あなたは……」
「そう、あなたにお仕置きされた沢渡真琴よ」
真琴へのお仕置きは、マンガを読みながら肉まんを食べているので体重が増えてきて困ってると言う親からの依頼で、
肉まんの中身を豚肉ではなくて謎ジャムに変えておいたのだ。
「あの後しばらく家で寝込んでいたせいで3回月刊誌を買い損ねて、10kも痩せたんだから!!」
「あら、ダイエットできてよかったわね〜〜」
微笑を浮かべながら言う。
「そうなの、痩せれたの〜〜 …… って、ちがう!!月刊誌を3回買い忘れるのは死活問題なんだから!!」
「あら、それは悪かったわね」
「ちっとも分かってないみたいだね、月刊誌の恨み晴らさせてもらうんだから!」
そう言うなり真琴は肉まん手裏剣を立て続けに10個投げてきた。
「っく」
秋子さんはすべてをぎりぎりで交わす…… つもりだった。
「…… 真琴さん、どこ飛ばしてるんですか?」
肉まん手裏剣はすべて明後日の方向に飛んでいってしまっていた。
一個は天井に、また一個は左の壁に、また一個は右の壁に、また一個は真琴の足元に……
「う〜〜、よけるなんて卑怯だ」
「だから避けてませんって」
顔には苦笑いが浮かんでいる。
「う〜〜、練習でもまともに飛んだことなかったんだよ〜〜」
真琴は目に涙を浮かべていった。
「こうなったら……」
真琴はポケットから肉まん手裏剣発射装置を取り出した。
「いくよ」
肉まん手裏剣を取り出すと、つぎつぎに装てんしながら打ってきた。
秋子さんはアサルトライフルで応戦する。
シュシュシュシュシュシュ
パパパパパパ
飛んできた肉まん手裏剣をつぎつぎに打ち落としながら柱の影に隠れる。
「やるね、秋子さん」
「そんな隠し武器があったなんてね」
アサルトライフルの弾奏を交換する。
シュシュシュシュシュ
カッカッカッカッカッ
秋子さんの隠れている柱に肉まん手裏剣が突き刺さる。
肉まん手裏剣の嵐がやんだ瞬間を見逃さずに秋子さんもアサルトライフルで応戦する。
パパパパパパパパパ
しかし、真琴も柱の影に隠れて弾が当たらない。
「仕方ない」
秋子さんはカバンから袋を取り出した。
その袋の中身を真琴の横2mぐらいのところに放り投げる
「何?」
真琴はその物を覗き込んだ
「わ、肉まんだ♪」
肉まんのいい匂いがしてくる。
「わ〜〜い♪」
お昼から何も食べず秋子さんが来るまで待っていた真琴はその肉まんに飛びつこうとした。
「っと、あぶない。その手には引っかからないんだから」
そう言うと、肉まん手裏剣をさらに打ち出す。
すると、その攻撃に応じて秋子さんは打ち返してくる
とその銃撃の嵐の中、足元にいたピロが肉まんに引かれて飛び出した。
「あ、駄目!」
真琴はピロをかばうように飛び出した。
「今」
そう言うと、ねらいを定めてアサルトライフルを放つ
パパパパパ
「やられたよ」
「ピロが飛び出していなかったら分からなかったですよ」
真琴はダメージはひどかったが、重度の怪我は負っていなかった。
「まさか、ゴム弾だとはね。もう駄目かと思ったよ」
秋子さんは”お仕置き”はしても決して人は殺さない、銃の弾は全部ゴム弾である。
ゴム弾はダメージは結構な物だが、殺傷能力は無いに等しい。
もちろん、グレネードはスタングレネードである。
スタングレネードは大音量と激しい閃光をあげ、相手の方向感覚、思考能力を奪い、数秒間意識不明にする。
と、秋子さんがカバンから何かを取り出す。
「はい、これあげるわ」
「これは?」
「肉まんよ」
秋子さんはそう言うと、上の階に上がっていった。
「肉まん♪」
真琴は嬉しそうに肉まんにかぶりついた。
「う、これは……」
中に入ってたのは謎ジャムだった。
「う…… ひどい……」
バタ
真琴は倒れた。
ーーーーー80階
ヒュ
カシン
秋子さんが80階まで上ってくると同時に剣で攻撃された。
「私は魔を討つもの」
「あはは、秋子さんですね」
声が二人分聞こえてきた。
「あなたたちは……」
「あなたにお仕置きされた川澄舞とそのお友達の倉田佐祐理ですよ♪」
と明るい声が返ってきた。
舞へのお仕置きは、牛丼のご飯の中に謎ジャムを入れられるという牛丼大好き人間には屈辱的と言ってもいい(?)お仕置きだった。
佐祐理は舞の付き添い。
「あはは、行きますよ〜〜」
と同時に言った本人ではなく、舞が頭を下げて姿勢を低くして突っ込んできた。
「く!」
秋子さんはとっさにナイフを取り出すと、舞の攻撃を受け止めた。
「やるね、秋子さん」
「そういう舞さんも……」
ちなみに会話の相手は佐祐理である。
ギシギシ
刃と刃が擦れあう音が響く。
キン!
と、突然舞が後ろに飛んだ
秋子さんはその反動で前に倒れた。
「く!」
舞はその隙を見逃さずに攻撃を仕掛ける。
しかし、秋子さんもとっさに横に回って避ける。
と同時に左手を軸にして下段回しげりを仕掛ける。
その攻撃を舞は上に跳んで避け、そのまま踵おとしを仕掛ける。
が、一瞬秋子さんの動きが速く外れる。
ほぼ同時に、秋子さんの裏拳が飛ぶ。
その攻撃を腕で受けながしながら、剣の柄で攻撃に行く。
その一撃を後ろに飛んで避ける。
「はあはあ」
二人の息はかなり上がっている。
間合いはちょうど両者の射程内、
二人とも次の一撃が勝負を決めると分かった
「は!」
「とお!」(佐祐理)
二人同時に突っ込んでいく、
カキン!!
二人が背中合わせに3mほど離れて立っている
「っく」(佐祐理)
先に倒れたのは舞だった、
二人が交差する瞬間、秋子さんはナイフで攻撃を防ぎながら後頭部に強烈な一撃を加えていたのだ。
「よくがんばったわね」
「負けたよ、秋子さん」
この会話の相手も佐祐理である。
「ご褒美」
そう言うと、秋子さんはカバンから○の屋のお持ち帰り並牛丼を2個取り出した。
「いいの?」
と佐祐理が聞く。
「ええ、じゃ、私は先を急ぐから」
秋子さんは上の階に上がっていった。
「折角だし、たべましょうか?」
「はちみつくまさん」
二人は牛丼を書き込んだ、
その瞬間
「う……」
「……」
二人は倒れこんだ。
ご飯と肉の間に謎ジャムが敷いてあったのだ。
「ひどいです…… 秋子さん…… げふ」
ーーーーー最上階
秋子さんは最上階まで上がってきた。
「ここね」
デッカイ社長室のような扉の前にでっかい字で、
『ここ!!』
と書いて張ってある部屋の前で秋子さんは言った。
ギィ
扉を押し広げて入ると、
「まっていたぞ、秋子さん」
誘拐した犯人が社長椅子に座って、机の上に足を上げていた。
「おまたせ、祐一さん」
祐一の顔に驚きの色が浮かぶ。
「なぜ、名前を?」
「私の情報網を持ってすれば簡単なこと」
「ま、まあいい」
「それより名雪は大丈夫なの?」
「名雪か、それだったら隣の部屋でぐっすり寝てるぜ」
祐一はあごで隣の部屋の扉を指した。
「たしかに、この時間はそうね」
現在時刻午後10時である。
「何でこんなことしたの?」
「美坂栞を覚えているか?」
「ええ、たしかお姉ちゃんにアイスの食べ過ぎをお仕置きしてくれって言われて、バニラアイスに謎ジャム仕込んだけど……」
「そのせいで、栞は病気が再発して入院したんだぞ!」
「あら、それはすまないことを……」
「今ごろ反省しても遅い、アイスは栞の生命なんだ!!」
(いや、そこまで大げさな物でもないだろう……)
「いくぞ、栞の仇!!」
「来なさい」
祐一はFA−MASを取り出し撃ってきた。
パパパパパパパ
秋子さんは横にあるソファーの後ろに逃げ込む。
銃弾の嵐がやんだ瞬間を見逃さないで秋子さんは打ち返す
パパパパパパパ
祐一は社長机の裏に隠れた、
秋子さんは一旦体制を立て直すためにソファーの陰に隠れる。
と同時に祐一からの攻撃が始まる。
パパパパパパパ
その時、ソファーにわずかな隙間があるのを見つけた秋子さんはその隙間からねらいを定め謎ジャム弾を放った
パン
バシ!
見事に祐一の口の中に謎ジャムが命中した。
「ぐはぁ」
祐一はそのまま倒れこんだ。
「どう?降参する?」
秋子さんは銃を突きつけながら聞いた。
もちろん、祐一は死んではいない。
というか、あまりの味に倒れただけだ。
「ふ、この位!!」
祐一は秋子さんの銃を蹴り飛ばした。
「く!」
そのまま銃は壁まで飛んでいった。
秋子さんは後ろに下がると、ナイフを取り出す。
と同時に祐一もナイフを構える。
いまさらだが、このナイフも刃は潰してある。
紙さえも切れないのだ、
とがっている部分も丸く仕上げてあり、絶対に刺さらない
秋子さんは姿勢を低くして祐一の懐に飛び込んだ。
キン
「っく」
祐一はそのナイフを受け止める。
ギシギシ
ナイフの刃と刃が擦れあう。
キン
祐一がナイフを上に跳ね上げて、秋子さんのナイフを弾き飛ばした。
「さあ、どうする秋子さん?」
そう言うと祐一は秋子さに切りかかる。
が、
カス
ナイフはまったく通じかなった、スーツの防御力のおかげだ。
「こうするまでよ」
そう言うと、秋子さんは祐一の腕をつかんで捻りあげた。
「うぁ」
祐一は完全に決められ身動きが取れなくなっていた。
「どう?降参する?」
「い、いやまだだ!」
「もう止めて!」
突然女の子の声が聞こえてきた。
その声が聞こえてきた方向、出入り口を見るとそこに立っていたのは栞だった。
「栞!」
祐一が驚きの声をあげた。
「もういいの、アイスはまた買えばいいから」
「栞……」
祐一は抵抗するのを止めた。
「分かったよ、秋子さん降参だ」
「じゃ、名雪は返してもらうわよ」
「ああ、鍵なんてかけてない。つれて帰ってくれ」
秋子さんは出入り口から見て右側にある扉に入っていった。
「名雪」
そこには熟睡している名雪がいた。
「う〜〜ん、お母さん…… 」
「ふふふ」
秋子さんは名雪を背負ってビルを降りた。
ーーーーー翌日
次の日
「起きなさい、名雪」
「う〜〜ん、おはよ〜〜お母さん…… ムニャムニャ」
そういいながら名雪は食卓に付く。
「昨日は大変だったわね」
「昨日??ああ、部活のこと?」
眠そうな目をしながら答える。
「え、部活って……」
「うん、大変だったよ〜〜」
そう言うと名雪はイチゴジャムたっぷりのトーストを口に運んだ。
「誘拐のことは覚えてないの?」
「うん?何でおかあさんが夢のこと知ってるの?」
名雪の顔にはハテナマークが浮かんでいた。
「え、いや…… なんとなくそうかな?と思ったから」
「夢の中のお母さんかっこよかったよ〜〜」
「あ、あっそう。よかったわね」
秋子さんは苦笑いした。
「そうか、昨日のことは夢だと思っているのね」
と心の中で思いながら。
「名雪、時間いいの?」
「え、あ、そうだ……」
「あ、そうだじゃないでしょ?」
「100mを7秒で走れば間に合うよ」
と言うと、名雪は玄関を飛び出していった。
「ふふふ、これで私の仕事がばれることはなくなったわね」
秋子さんは走り去る名雪の後姿を見ながらつぶやいた。
と、そこへ
「よ、秋子さん」
「あら、北川さん。お仕事かしら?」
北川はカバンからファイルを取り出すと秋子さんに渡した。
「ああそうだ、次のターゲットは……」
秋子さんの活躍はまだまだ続く……
あとがき
はい、なんとなく書いてみました秋子さんの本当の職業。
実はこれ、書き直し入ってます。
しかも、書き直す前ので一回売ってます.(爆
もちろん、書き直す前の物は書き直した後の物と交換しますが。
最後のところで微妙にごまかしてあるので、次回作も狙ってみたりしてますので
どうぞよろしく
であであ、この辺で
UP 2002/07/26
誤字脱字修正 2002/07/27